シンポジスト:木村 竹男 医療法人徳洲会 横浜日野病院 / 横浜メンタルクリニック戸塚
教育講演:木村 竹男 医療法人徳洲会 横浜日野病院 / 横浜メンタルクリニック戸塚
「Aripiprazole および brexpiprazole の薬理学的および臨床的特性の相違点」
世界初のドパミンパーシャルアゴニスト(DPA)であるアリピプラゾールの主任研究者であり、世界で2番目に上市されたDPAであるブレクスピプラゾールの基本コンセプト設計に関わった大塚製薬の菊地フェローと、ドパミン過感受性精神病(DSP)研究等で世界を牽引する千葉大学精神医学教室の伊豫教授と共著で、この両薬剤の相違点をまとめました。アリピプラゾールで問題とされた弱点を理論的につきつめ解決を目指して創薬されたブレクスピプラゾールは、基礎的な実験でも臨床特性においても、おおよそ理論通りの特徴を持つことが広範なデータから確かめられました。アリピプラゾールの長所を残したまま短所が改善されたこのブレクスピプラゾールの薬理特性とは具体的に何なのか?なぜDPAが重要なのか?本論文の神経精神薬理学的な考察は、この両薬剤のみならず統合失調症の薬物療法全体を俯瞰できる内容になっているかもしれません。構想から2年余りの年月を経て完成した読み応えのある総説になったと思います。
『Difference between aripiprazole and brexpiprazole from the point of view of pharmacology and clinical properties』
双極性障害の病態解明につながるモザイク変異・ミトコンドリア変異の同定
高深度エクソームシーケンスによって明らかになった新たなゲノム構造
順天堂大学大学院 医学研究科 精神・行動科学の西岡 将基 准教授、加藤 忠史 主任教授の及び理化学研究所、東北大学を含めた国内共同研究グループは、双極性障害の病態機序として、発生初期に生じる体細胞モザイク変異、特に神経発達障害の原因遺伝子上のモザイク変異が関与する可能性があることを明らかにしました。
『Deep exome sequencing identifies enrichment of deleterious mosaic variants in neurodevelopmental disorder genes and mitochondrial tRNA regions in bipolar disorder.』
著者:Masaki Nishioka, Jun Takayama, Naomi Sakai, An-a Kazuno, Mizuho Ishiwata, Junko Ueda, Takashi Hayama, Kumiko Fujii, Toshiyuki Someya, Shinichi Kuriyama, Gen Tamiya, Atsushi Takata, Tadafumi Kato
所属:
1) 順天堂大学・医学部・精神医学講座
2) 順天堂大学・医学部・気分障害分子病態学講座
3) 理化学研究所・脳神経科学研究センター
4) 東北大学・東北メディカル・メガバンク機構
5) 医療法人南山会・横浜メンタルクリニック戸塚
6) 滋賀医科大学・医学部・精神医学講座
7) 新潟大学・医学部・精神医学教室
8) 順天堂大学・医学部・老人性疾患病態・治療研究センター
DOI: 10.1000.333.444.doi,2000
本研究は、AMEDゲノム医療実現推進プラットフォーム・先端ゲノム研究開発22tm0424224、AMED革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明22dm0207074、JSPS科研費22H00468、JSPS科研費21K15722、およびジョンズホプキンス大学共同研究計画ニューロロジープロジェクトの支援を受け多施設との共同研究の基に実施されました。
双極性障害に先天的・後天的デノボ変異がともに関連
双極性障害の病態理解が一歩前進
理化学研究所脳神経科学研究センター精神疾患動態研究チームの西岡将基(順天堂大学医学部精神医学講座准教授)、加藤忠史チームリーダー(順天堂大学医学部精神医学講座教授)、分子精神病理研究チームの髙田篤チームリーダーらの共同研究グループは、双極性障害患者における遺伝子変異を包括的に解析し、全身の細胞に存在する先天的変異と一部の細胞にのみ存在する後天的変異がともに双極性障害に関連することを明らかにしました。
『Systematic analysis of exonic germline and postzygotic de novo mutations in bipolar disorder.』
著者:Masaki Nishioka1, An-a Kazuno1, Takumi Nakamura1,2, Naomi Sakai1, Takashi Hayama3, Kumiko Fujii4,Koji Matsuo5, Atsuko Komori1, Mizuho Ishiwata1, Yoshinori Watanabe6, Takashi Oka7, Nana Matoba 1,13,Muneko Kataoka1,14, Ahmed N. Alkanaq8, Kohei Hamanaka8, Takashi Tsuboi9, Toru Sengoku10,
Kazuhiro Ogata10, Nakao Iwata 11, Masashi Ikeda 11, Naomichi Matsumoto 8, Tadafumi Kato 1,2 &
Atsushi Takata
所属:
1 Laboratory for Molecular Dynamics of Mental Disorders, RIKEN Center for Brain Science, Wako, Saitama, Japan.
2 Department of Psychiatry and Behavioral Science, Juntendo University Graduate School of Medicine, Tokyo, Japan.
3 Yokohama Mental Clinic Totsuka, Yokohama, Japan.
4 Department of Psychiatry,Shiga University of Medical Science, Otsu, Shiga, Japan.
5 Department of Psychiatry, Saitama Medical University, Moroyama, Saitama, Japan.
6 Ichigaya Himorogi Clinic, Tokyo, Japan.
7 Juzen Hospital, Kanazawa, Ishikawa, Japan.
8 Department of Human Genetics, Yokohama City University Graduate School of Medicine, Yokohama, Japan.
9 Department of Life Sciences, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo, Tokyo, Japan.
10 Department of Biochemistry, Yokohama City University Graduate School of Medicine, Yokohama, Japan.
11 Department of Psychiatry, Fujita Health University, Toyoake, Aichi, Japan.
12 Laboratory for Molecular Pathology of Psychiatric Disorders, RIKEN Center for Brain Science, Wako, Saitama, Japan.
13Present address:Department of Genetics and UNC Neuroscience Center, The University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC, USA.
14Present address: EbaraHospital, Tokyo Metropolitan Health and Hospitals Corporation, Tokyo, Japan.